「笑顔が消えたら画面も消えるテレビ」が教えてくれるもの

アーティストのDavid Hedberg氏が作った「スマイルTV」にはロゴの裏にカメラがついていて、視聴者の顔の表情を読み取り、笑顔(スマイル)が消えたらディスプレーの映像も、電波が受信できないときの砂嵐(スノーノイズ)でかき消えてしまう。

アーティストのデイヴィッド・ヘッドバーグが作った「スマイルTV」にはロゴの裏にカメラがついていて、視聴者の顔の表情を読み取り、笑顔(スマイル)が消えたらディスプレーの映像も、電波が受信できないときの砂嵐(スノーノイズ)でかき消えてしまう。

このテレビが映し出すのはレスリングの試合、動物ビデオ、カンフー映画、そしてなぜか「サウンド・オブ・ミュージック」の場面など。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の「Show RCA」に出品された作品だ。

もちろん、テレビは深刻なニュース、ハラハラするアクション、哀しいドラマなども放送するメディアだから、視聴者は常にスマイルを浮かべているはずはないので、「スマイルTV」で実際の放送を視聴するのは難しいだろう。しかし多チャンネル化でパソコンやスマートフォンのスクリーンと視聴者の時間を奪い合うテレビは、各国で広告収入の低下に伴う番組の質の低下に直面している。

笑顔が消えたら画面も消えるテレビは、テレビと視聴者の関係について再考を促すためにデザインされたようだ。


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TEXT BY KENJI NOBUKUNI